キッチンの排気システム内部に設置されているシロッコファンは、蓄積された油性の汚れにより掃除が必要な部品の一つです。
この記事では、シロッコファンの適切な掃除方法、および役立つヒントを紹介します。
掃除を先延ばしにしている方や、具体的な掃除方法を知りたい方には特にお勧めの内容です。
1.シロッコファンとその役割
家庭におけるキッチンの排気システム、浴室の暖房乾燥装置、トイレや洗面所の換気装置など、多岐にわたる場所に設置されているのがシロッコファンです。
換気装置は大きくシロッコファン、ターボファン、プロペラファンの3タイプに分けられ、それぞれが独自の特徴を持っています。
シロッコファンは、数多くの羽根が円筒形に配置されていることで特徴づけられ、風車のような形状をしています。
これにより、外気の影響を受けにくい排気方式を採用しており、運転時の騒音が少ないことが魅力の一つとされています。
2.重曹水とセスキ炭酸ソーダ水を使った掃除法
2-1.重曹水を使った掃除法
アルカリ性洗剤が手元にない場合は、重曹水が良い代替手段となります。
重曹は自然に由来する成分であり、その性質は弱アルカリ性です。
洗浄力では市販の洗剤に劣るかもしれませんが、重曹水を加熱することで、より強いアルカリ性へと変わり、頑固な油汚れに対しても有効に働きます。
重曹水を作るには、まず10リットルのお湯(約50~60度)を用意し、そこにカップ1杯分の重曹を加えてよくかき混ぜて溶かします。
重曹の特性上、温めることで洗浄効果が高まるため、掃除を行う際は温度を保つと良いでしょう。
これにより、自然由来の成分でありながら、効果的に油汚れを取り除くことができます。
2-2.セスキ炭酸ソーダ水を使った掃除法
特に長期間の油汚れや、固くこびりついた汚れにはセスキ炭酸ソーダが効果的です。
セスキ炭酸ソーダ、またはセスキ炭酸ナトリウムとも呼ばれるこの成分は、重曹よりも高いアルカリ性を持ち、油汚れを素早く分解する力があります。
セスキ炭酸ソーダは水に溶けやすく、スプレーボトルにセスキ炭酸ソーダ水を作って使用する方法がお薦めです。
この溶液は、500mlの水に対して小さじ1杯のセスキ炭酸ソーダを混ぜることで簡単に作れます。
シロッコファンの表面にスプレーして拭き取ることで、頑固な汚れを効率的に落とします。
使用するセスキ炭酸ソーダ水は作成後1~2週間以内に使い切ることが望ましいです。
3.シロッコファン掃除の詳しい手順
シロッコファンの掃除に移る前に、手順を見ていきましょう。
3-1. シロッコファンの取り外し方
シロッコファンを掃除するにあたり、まずはその構成部品を正しく取り外すことから始めます。
一般に、外すべき順序は外側のカバー、フィルター、シロッコファンの保護カバー、そしてシロッコファン本体です。
外側のカバーとフィルターを取り除いた後、シロッコファンを固定しているネジを慎重に外していきます。
ネジを全て外した後、中央に位置する固定ピンを回してシロッコファン本体を取り出します。
この際、油で滑りやすくなっている可能性があるため、落下や滑り落ちに注意しながら作業を行ってください。
長期間掃除されていないシロッコファンでは、ネジ周辺の油汚れが硬化していることがあり、簡単には外れない場合があります。
そのような時には、油汚れ専用の洗剤を染み込ませたキッチンペーパーをネジに密着させる方法が有効です。
この方法で、ネジ周辺の油汚れを柔らかくし、5~10分程度置いておくと良いでしょう。
なお、シロッコファンの取り外し方は、製造メーカーやモデルによって異なる場合があるため、掃除する前には必ず製品の取扱説明書を確認し、正しい手順を把握しておくことが重要です。
3-2. シロッコファンの浸け置き掃除
取り外したシロッコファンやフィルターなどの部品を徹底的に掃除するため、45リットルのゴミ袋を二重にして使用する浸け置き法をご紹介します。
この方法では、部品が完全に浸る量の40~50度の温水を用意し、中性洗剤を適量加えます。
部品をゴミ袋に入れた後、この温水を注ぎ入れて浸け置きします。
浸け置きの時間は、汚れの程度によって5~10分で十分な場合もあれば、非常に汚れている場合は1~2時間に延長することをお薦めします。
ポイントは、シロッコファンが完全に水に浸かるよう十分な量のお湯を用いることです。
浸け置きの間、換気扇本体の掃除を行うと時間を有効に活用できます。
特に、シロッコファンを取り外した後の内側や、他の油で汚れが目立つ箇所に注目して、油汚れ用洗剤を染み込ませた雑巾やクロスで丁寧に拭き取ります。
3-3. こすり洗いで汚れを落とす
浸け置きによって油汚れが十分に柔らかくなった後は、シロッコファンを取り出し、まずは軽く水ですすぎ、汚れがどの程度落ちているかを確認します。
この時点で、スポンジや古歯ブラシを使用し、特に細かい箇所や頑固な汚れがある部分を重点的にこすり洗いします。
汚れを落とす際は、部品を傷つけないように適度な力加減で丁寧に行うことが大切です。
こすり洗いが完了したら、再度水でしっかりとすすぎ洗いをして、洗剤が残らないようにします。
洗剤の残りがないかよく確認し、汚れと洗剤が落ちていることを確認したら、掃除は終了です。
この工程では、洗剤の残留を防ぐことが特に重要であり、部品を長持ちさせるためにも、洗い流しは丁寧に行うようにしましょう。
3-4. 乾燥と再設置の手順
掃除が終わったシロッコファンの部品は、乾燥させる必要があります。
まず、余分な水分は雑巾で丁寧に拭き取ります。
その後、部品を自然乾燥させる場合、新聞紙を下に敷くと良いでしょう。
新聞紙は余分な湿気を吸収し、乾燥を早める効果があります。
部品が完全に乾燥したら、掃除前に行った手順の逆順でシロッコファンを再設置します。
この際、すべての部品が正しく、かつしっかりと取り付けられていることを確認してください。
部品が濡れた状態で再設置すると、錆びや電気系統のトラブルの原因となる可能性があるため、乾燥は非常に重要です。
再設置後は、動作確認をして、問題なく機能するかをチェックしましょう。
3-5 シロッコファンの取り外しが難しい場合の対処法
シロッコファンを取り外す時間がない、またはその手間を避けたい場合でも、レンジフードフィルターの掃除だけでも実施することで、臭いや油汚れによる問題を軽減できます。
フィルターは油の蓄積や臭いの原因となり得るため、シロッコファン本体を掃除できない時でも、フィルターのメンテナンスを定期的に行うことが重要です。
特に、シロッコファンを取り外せない場合は、月に一度以上の頻度でフィルターの掃除をしましょう。
この簡単なメンテナンスでも、レンジフードの性能を維持するのに効果的です。
フィルターの掃除は、油汚れを防ぎ、換気システム全体の効率を高めるためにも、定期的に行いましょう。
4.シロッコファン掃除の注意点とコツ
4-1. アルミ製シロッコファンの取り扱いについて
アルミ製のシロッコファンを掃除する際は注意が必要です。
アルミはアルカリ性や酸性の洗剤に反応しやすく、使用すると表面が白く変色したり、腐食する恐れがあります。
このような化学反応は、直ちにシロッコファンが損傷するわけではありませんが、繰り返しの掃除で寿命を縮める可能性があります。
そのため、アルミ製のシロッコファンやその他の部品を掃除する際には、その材質を事前に確認し、適切な洗剤を選択することが重要です。
可能であれば中性洗剤への切り替えを検討すると良いでしょう。
特に、シロッコファンの塗装が剥がれている場合や、材質がアルミであることが確認できた場合は、中性洗剤の使用をお薦めします。
4-2. 頑固な汚れに対する浸け置きとこすり洗いの繰り返し
長期間掃除されていないシロッコファンには、油汚れが層を成して厚く積み重なっていることがよくあります。
このように何層にも重なった頑固な汚れは、浸け置きとこすり洗いを何度も繰り返すことで徐々に取り除いていくことが可能です。
汚れが特に硬くなっている場合、洗剤がより深く浸透するようにするために、スクレーパーなどを使用して表面の古い油汚れを軽く削り取ることが有効です。
その後、再び浸け置きを行い、柔らかくなった汚れをスポンジやブラシで丁寧にこすり洗いします。
この工程を必要に応じて繰り返すことで、厚く積み重なった油汚れを落とすことができます。
頑固な汚れに対しては、根気よく浸け置きとこすり洗いのサイクルを繰り返すことがポイントです。
まとめ
シロッコファンの油汚れは、換気効率の低下の原因になります。
しかし、適切な掃除用品と掃除方法を用いれば、自宅での掃除が十分可能です。
数ヶ月に一度のペースでのメンテナンスをお薦めします。